春の京都旅 ①|思いきって始まる旅は二条城キーファー展

春の京都旅


思いついたのは、ほんの数日前。
ほとんど勢いのままに、4月初旬の京都へ向かった。
いまになって振り返る、そのときのこと。

例年より少しだけ遅れていた春が、
ちょうどそのとき、満開のかたちで待っていてくれた。


旅の友に選んだのは、
島田真琴著『美術館・博物館の事件簿』

珠玉のアート作品をめぐる現在にまでつづく、
作品収集の経緯の不都合な事実。
作品の背景に密むストーリー。
興味深い一冊でした。
美術館という白い箱と言われる存在の意味、
読み進めるほどに、美術館で博物館で
作品を「観る」という行為が少しずつ変わっていくような一冊

ページをめくりながら向かう京都は、
いつもよりさらにわくわくしてくる。

敦賀からサンダーバードに乗り換え、京都へ向かう車窓、
窓の外には、まだ雪を残した山々。

春のはじまりと、冬の余韻が混ざるような景色が、
急いたこの旅の温度をゆっくりと整えてくれる。
車窓の旅時間のいいところの一つ。

今回の宿は四条室町。
賑やかな四条通から室町通に入ルと、空気はふっと変わる。
老舗が並ぶその通りには、
凛とした静かな京都らしい時間が流れている。

高騰する宿泊費のなかで、
なんとか見つけた、少しほっとする場所。
宿に荷物を預けて向かったのは、二条城。

この6月で会期を終える、
重く静かな作品で知られる、
ドイツの現代美術家アンゼルム・キーファーの「ソラリス展」。

旅に出るには調整の難しい季節、
見ておきたい展覧会とは気になりつつ、
計画できなかった旅を、
半ば強引に旅に出た。

普段の旅では、
いわゆる混雑するような観光地を積極的に選ぶことはあまりない。
静かな場所や、
人の流れから少し外れたところに、
つい足が向いてしまう。


この旅で二条城へ向かっている自分が、
少しだけ新鮮にも感じられた。

広い敷地と、歴史ある空間。
そこに置かれたキーファーの作品。

その組み合わせは、
想像の中では印象的で、
同時に少し不思議でもあった。

空間の大きさと作品の存在感が、
ぴたりと重なる瞬間もあれば、
どこか距離を感じるような場面もあるもの。

その揺らぎごと含めて、
この場所で体験する意味があるのかもしれない。

読みかけの本の言葉がふと重なり、
「観る」という行為が、少しだけ自分の中で変わっていく。

ただ鑑賞するのではなく、
感じたことをそのまま受け取るような時間。

まだ始まったばかりの旅。
けれど、この時点で、
この旅の空気は静かに決まっていた。

この旅は、
きっと、思っていたよりも静かで、
少し深い時間になりそうだ。

2025年4月初旬。
少し遅れていた春の中にいた、あのときの京都。

春の京都旅 ② 四条室町から二条城へ、みたらし団子のある道すがら

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