器(たてもの)という名のアート
展覧会の興奮を胸に一歩外へ出ると、今度は美術館そのものがひとつの巨大なアートであることに気づきます。1933年に開館したこの場所は、2020年に大規模なリノベーションを経て、歴史を背負いながらも軽やかな姿へと生まれ変わりました。
歴史と未来を同時に体感できるアート建築。展覧会と一緒にインスタレーション作品のような空間を体感です。

「ガラス・リボン」が繋ぐ、外と内
最初に目を引くのは、建物の正面を緩やかに覆う「ガラス・リボン」。重厚な煉瓦造りの建築の足元とも入れるベースの部分に透明な現代の息吹が生きています。 これは、かつての下駄箱があった場所を掘り下げて作られたとのこと。このエントランスは、外に対して開かれるように、そしてまるで呼吸をしているかのようです。

光が踊る「中央ホール」と、曲線美
かつての大陳列室をリノベーションした中央ホール。吹き抜けの真っ白な空間に、柔らかな自然光が降り注ぎます。 ここで見逃せないのが、優雅なカーブを描く螺旋階段。流れるような美しい螺旋は、直線的な歴史建築の中に現れるこの曲線は、訪れる人を二階へと、あるいは新しい物語へと誘います。つい階段を登り、下りしてみたくなる。上へ登ると、広々とした中央ホールを見下ろす、とても気持ちのいい眺めです。


時を刻むタイルの質感
建築のディテール一つ一つもとても美しく、時を感じます。 ふとした瞬間に足元や壁に目をやると、昭和初期の面影を残す意匠や、長い年月を経て深みを増したタイルの色合いに出会います。新しい白の空間と、古い煉瓦やタイルのコントラスト。その境界線に立つとき、京都という街が持つ「重ね書きの歴史」を肌で感じます。






静寂の庭園で、記憶を整える
建物の奥に広がる日本庭園。 ガラス越しに庭を眺めながら歩く回廊は、鑑賞した作品の記憶と、建物の美しさを自分の中に馴染ませるための、大切な「余白」の時間。 建物そのものが放つ「静」のエネルギーが、歩き疲れた身体に心地よく響きます。


→春の京都旅 ⑱ 「静」のモネ展から「動」の若きポーランド展へ。
京都市京セラ美術館
- 京都市京セラ美術館(旧:京都市美術館)
- 建築の特徴:
- 1933年開館。現存する日本最古の公立美術館建築。
- 2020年に青木淳・西澤徹夫氏らの設計により大規模リノベーション。
- 和洋折衷の「帝冠様式」を維持しつつ、透明感あふれる「ガラス・リボン」を融合させた意匠が特徴。
- 見どころ:
- ガラス・リボン: 正面入り口のガラス張りの空間。カフェやショップが併設され、街に開かれたエリア。
- 中央ホール: かつての大陳列室をリノベーションした、自然光が降り注ぐ真っ白な大空間。
- 螺旋階段: 中央ホールに設置された、曲線美が美しいモダンな階段。
- 日本庭園: 敷地奥に広がる、四季折々の表情を見せる庭園(七代目小川治兵衛の作庭を基調とする)。
- 所在地: 京都市左京区岡崎円勝寺町124(地下鉄東西線「東山駅」より徒歩約8分)
- 公式サイト: kyotocity-kyoceramuseum.jp
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