菊しんコーヒーで静かな朝を過ごした後(前回はこちら)、再び東山の路地へと踏み出しました。
次の目的は、一年の運勢を占う特別な「おみくじ」。
ガイドブックをなぞるだけでは出会えない、老舗のこだわりや、静かな通りの街並み。歩いた距離の分だけ心が豊かになる、午前の東山散歩の記録です。
菊しんコーヒーの佇む名もなき細い路地から西へ、八坂通り、松原通りへと細い路地を渡り歩き。途中の道沿いに気になるところカフェなど、目に楽しい路地のはしごが楽しい。気になっていたカフェ”SAGAN”の店先のメニューを見ながら寄って行きたいなと思いつつ、先ほどいただいたばかり、胃袋は一つだ、ここはグッと我慢して、前へ進みます。

自分の「宿命」を読み解く。六波羅蜜寺の開運推命おみくじ
カフェSAGANの角を曲がるとその先にあるのが、「六波羅蜜寺」。以前から、他とは違う特別なおみくじが気になっていました。いつかは訪れようと思い、Google mapの京都の行きたい場所リストに入っていた場所の一つです。
生年月日から導き出される、私だけの特別な運勢

そのおみくじの名は「開運推命おみくじ」。 一般的に「おみくじ」と聞くと、その時の運を天に任せてくじを引くものを想像しますが、こちらは一人ひとりの生年月日に基づいて運命を読み解くもの。いわば、自分専用の「一年の指針」です。
入り口で靴を脱ぎ、まずは本殿にて静かに手を合わせます。お参りを済ませたら、用意されている受付用紙に生年月日と性別を記入して提出。すると、四柱推命に基づいた本格的な一年の運勢が記された紙を授けていただけます。
そこには、その年をどう過ごすべきか、災難を避けるための注意などが丁寧に綴られており、一年間手元に置き、折に触れて見直したくなるような重みがあります。郵送でも申し込めるそうですが、やはりこの場所の空気に触れて直接手にするからこそ、そのメッセージが受け取れるような気がします。四柱推命に基づいた本格的な内容に、背筋が伸びる思いです。
家族の幸せを願って。誰かの分まで授かる時間
今回は自分のだけじゃなく、家族の分も一緒にいただいてきました。自分以外の幸せを思いつつ、おみくじを授かる時間は、心配でもあり、旅の中の他者を思うひとときです。
本殿横でおみくじをいただいてから、さらに奥に進むと都七福神の一つ・巳成金弁財天様が祀られていました。七福神で唯一の女神は水を神格化したもの、言語や音楽の神として尊信されているそう。金運・財運の神として福徳自在のご利益もあるとか。銭洗ができる場所があり、せっかくならとお札を洗い、ハンカチで挟んで大切にしまいます。四柱推命おみくじだけでも、特別な時間を過ごせた上に七福神・弁財天様にもお参りできて、とっても贅沢な時間が過ごせました。
京都の神社仏閣を巡る際、私が密かに大切にしている習慣があります。
それは、京都入りしたらまず最初にお買い物をして、小銭を作っておくこと。普段はキャッシュレス派ですが、この時ばかりはパンツのポケットに小銭を忍ばせます。
お参りの際、バッグを探ることなく、すっとお賽銭をお供えできるように。そして、この美しい街を末永く守り続けてほしいという、私なりのささやかな願いを込めて。そんな準備も、旅の楽しみの一つになっています。

幸運をもたらす、日本最古の巡礼。京都「都七福神めぐり」のすすめ
六波羅蜜寺の「巳成金弁財天」をお参りして気付かされるのが、ここが「都七福神」の一つであるということ。実は京都の七福神めぐりは、日本で最も古い歴史を持つと言われています。インド・中国・日本の神々が、商売繁盛や家庭円満、健康長寿など、それぞれ異なるご利益をもたらしてくれる七つの寺社。京都市内から宇治まで点在していますが、一日で集中して巡るなら、北から南へ効率よく下る以下のルートがおすすめ。
都七福神めぐり:おすすめの巡礼ルート(1日集中型)
- 福禄寿|赤山禅院(左京区・修学院) ご利益:子孫繁栄・財産・出世・長寿
- 大黒天|松ヶ崎大黒天/妙円寺(左京区・松ヶ崎)ご利益:寿福円満・開運招福・商売繁盛
- 寿老神|革堂行願寺(中京区・寺町) ご利益:不老長寿・諸病平癒
- ゑびす神|京都ゑびす神社(東山区・祇園) ご利益:商売繁盛・家運隆昌・交通安全
- 弁財天|六波羅蜜寺(東山区・松原) ご利益:言語・知徳・芸術・財運
- 毘沙門天|東寺(南区・九条) ご利益:七難回避・降魔厄除・勝運
- 布袋尊|萬福寺(宇治市・黄檗) ご利益:諸縁吉祥・子宝・家内安全
*移動のコツ すべてを一日で巡るなら、バスや電車だけでなくタクシーを上手く組み合わせるのがコツ。宇治の萬福寺は少し離れているので、時間の配分に注意が必要。
*御朱印の楽しみ 専用の大きな色紙(大護符)に御朱印を集めていくのも楽しみの一つ。すべて揃った時の達成感は、歩き旅の最高の記念に。
*季節の楽しみ 新春(1月)に巡るのがよりご利益があるとのことですが、春や秋の心地よい季節に、自分のペースで一箇所ずつ大切にお参りするのも贅沢な過ごし方。
大和大路通りで見つけた、創業100年の暖簾 御菓子司「かぎ甚」
六波羅蜜寺を後にし、大和大路通りを北へ。そこでふと目に留まったのが、京都らしい凛とした佇まいの「かぎ甚」さんの白い暖簾。暖簾の脇にはおすすめの桜餅と本わらび餅の写真。「もっちり焼き皮 桜餅」と「和菓子屋がこだわり抜いた本当の 本わらび餅 本わらび粉100% 深煎り黒寿きなこ使用」の文句に誘われ、まんまと暖簾をくぐる旅人です。

中へ入るとシンプルで小さな店構えと、店主のおじさんのあっさりとした対応の媚びない老舗の格好良さに、職人気質の心地よさを感じます。
今日のおやつ用にと、桜餅とわらび餅を一つずつ包んでもらいました。
後々になって、御菓子司かぎ甚さんについて調べてみると、創業約100年、4代目になるそうで、お茶席・お稽古にお使い頂く京菓子作りを中心に作られてきたとのことでした。
偶然通った通りの暖簾をくぐるとこんな素敵なお店に出会うのが京都の旅の愉しみだなと感じます。
関西と関東で大きな違いがある「桜餅」。
今回、かぎ甚さんの暖簾をくぐったきっかけは、焼き皮の桜もちだったからです。関東では焼き皮であり、関西・特に京都では桜餅といえば道明寺生地。
故にかぎ甚さんの焼き皮の桜もちは京都では非常に珍しいのです。
京都では珍しい、関東風の「焼き皮(長命寺)」の桜餅は三代目が修行時代の経験から、あえてこのスタイルを守り続けているのだそう。当主自身が道明寺より焼き皮の方が個人的に好きだった事もきっかけになり、焼き皮の桜餅を作るようになったとのことがホームページに書かれていました。
かぎ甚さんの焼き皮 桜もちは、もっちりとした生地にさらりとしたこし餡、塩漬けの桜がアクセントになった贅沢な一品。本わらび粉100%の本わらび餅も贅沢な一品でした。なんて、贅沢なおやつでしょう。小さな幸運が一つ。

おやつを手に入れて、いざ白川へ
三代目のこだわりが詰まった桜餅とわらび餅の小さな包みを手に、四条通りの喧騒を抜けていきます。いざ白川へ。
柳揺れる美しい風景と、心待ちにしていた「モネ展」のお話は、また次回にお届けします。
→春の京都旅 ⑰ 白川に導かれるまま。大和橋から岡崎へ続く…
立ち寄った場所
・六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)東山区
生年月日で占う「開運推命おみくじ」が人気。
日本最古の「都七福神」の一つ(巳成金弁財天)。
銭洗いのお堂があり、金運・財運のご利益でも知られる。
・御菓子司 かぎ甚 東山区
創業100年 茶席菓子を長年手掛けてきた、職人気質の誠実な味。
京都では珍しい「焼き皮(長命寺風)」の桜餅が名物。
本わらび粉100%にこだわった、とろける食感の「本わらび餅」。
大和大路通り(六波羅蜜寺から北へ徒歩すぐ)
・カフェSAGAN
リノベーションされたお洒落な空間で、モーニングやランチが充実。
今回は「胃袋は一つ」と泣く泣く通り過ぎた、路地角の気になるお店。
六波羅蜜寺へ向かう路地の角
*「菊しんコーヒー」から「六波羅蜜寺」へ
西へ向かって、松原通りをのんびり歩いて約10分。
*「六波羅蜜寺」から「かぎ甚」へ
お寺を出て大和大路通りを北へ。5分ほど歩けば、左手に白い暖簾が見えてきます。
🚩 旅の拠点に。東山・松原エリアの宿泊事情
今回歩いた六波羅蜜寺周辺は、清水寺や祇園へも徒歩圏内ながら、一歩路地に入れば驚くほど静かな時間が流れるエリア。
おすすめのスタイル: 古民家をリノベーションしたゲストハウスや、スモールラグジュアリーなホテルが点在しており、「暮らすように旅をしたい」方にぴったりです。
🏨 京都・東山エリアの宿をお得に予約する
六波羅蜜寺・清水寺・祇園など東山の名所に近い宿。路地歩きの拠点にぴったりです。


