大和大路から、静寂への入り口へ

「かぎ甚」さんで焼き皮の桜餅を手に、大和大路通りを北へ。四条通りの賑わいを背に、大和橋に差し掛かります。 多くの観光客は四条とおりに出て東の祇園中心部へ向かいますが、私はあえて「西」へ。静かな京都に出会うための私の旅の知恵です。
白川に導かれるまま。大和橋から岡崎へ続く、知られざる桜の回廊 白川の奥座敷へ

大和橋を西に折れ、白川沿いの白川筋に入ると、さっきまでの喧騒が嘘のように引き、川のせせらぎだけが聞こえてきます。
川の流れに沿って桜並木、川を挟んで向こう岸には、京町家の宿屋、風情のある民家が立ち並んでいます。散歩日和の太陽の光と、白川の水面の光がとてもきれいで京都らしい街並みが待っています。

花見小路通りに入り、そこから、祇園「なすありの径(みち)」へと入ります。。 このルートの真ん中に位置する、ほんの短い区間。 京都のイメージそのものの通り。朝も比較的早めだったので、柳と桜が織りなす景色を独り占めできる特別な場所でした。


再び白川のせせらぎに導かれるように白川筋へ戻ると川沿いに見えるカフェ、京町家の家々とマンションや住宅も、こんなところに住めたらいいだろうななんて考えながら、歩きます。このあたりの白川は、さらさらと流れる水の音と、風に舞う柳の枝が本当に優雅。 歩いているだけで、さっきまでの路地歩きとはまた違う、開放的な気分になります。

祇園の巽橋周辺がとても有名ですが、大和橋を折れてからのこのルートは、驚くほど人がいません。川のせせらぎだけが聞こえる中、頭上には満開の桜。
「こんなに美しいのに、みんな知らないのかな」とっておきの通りを見つけた小さな贅沢を噛み締めながら歩きます。白川筋には有名な一本橋、ここへくるとこわごわながらつい渡りたくなるんですよね。大和橋からの名もなき(けれど確かな春がある)川沿いの道から有名な通りまで、両方の愉しみを味わえるルート。一歩一歩のんびり散歩が今の私の気分にはしっくりきます。一本橋が見えてくると岡崎はもうすぐ。早朝から動いていたので午前10時には岡崎エリアへと到着です。

10am 京セラ美術館「モネ展」で光の海の中へ
静かな桜並木を抜け、平安神宮の大鳥居が見えてくると、エリア全体の空気がパッと華やぎます。 ここ岡崎は、美術館がひしめき合うアートの街。



待たずにスムーズに入館できるWebチケットを手に、京セラ美術館へ。
お目当ては「モネ 睡蓮のとき」展です。


美術館を巡っていると、モネの睡蓮作品と時々目にする機会に恵まれます。
モネが43歳から終の住処として愛してやまなかった庭とアトリエのあった自宅、ジヴェルニ−の地。そこに池を作り睡蓮を育てた50代から生涯描き続けた『睡蓮』は、晩年になるにつれ、より大画面で抽象的な睡蓮へ変化していったという、その過程の作品を見ることができました。そのほかにも50代の頃にかいた光の陰影の美しい作品がたくさんありました。


作品の前を一度通り過ぎてもまた戻り、角度を変えては眺め……を繰り返し。モネの描く朝靄の質感、光の陰影、奥行き、余白、ずっと眺めていても飽きることのない永遠の作品たちです。去り難いひととき、夢中になり鑑賞しているとあっという間に時間は過ぎていきます。そして、同時にとてもエネルギーを使っていることに気が付きます。
時間をおいてまた見てみたい展覧会に名残惜しくも展示室を後にしました。
展示室を出ると、展覧会グッズのコーナーが。展覧会の後はいつも、印象に残った作品のポストカードを購入するのが、私の約束事。母へは、日本初公開だったクロード・モネ《ジヴェルニー近くのセーヌ河支流、日の出》のノートをお土産に購入。
京セラ美術館のショップではちょっと珍しい、京都のカレー屋さんの「カレーあられ」もしっかり購入しての正午、至福の芸術のあとは、お腹を満たそう。
12pm 柿沼惣菜店のお弁当と、至福のピクニック
美術館を出て岡崎公園から冷泉通りへと歩き、東大路通りの「柿沼惣菜店」さんへ。 前回の旅で偶然前を通り見つけたお惣菜屋さんで、次回はと楽しみにしていました。

ずっと食べてみたかった「柿沼惣菜店(@kakinumasouzai)」さんのお弁当。 ガラスケースを見ると美味しそうなものばかりで迷ってしまいますが、今回は店名のついた「柿沼弁当」を選びました。大正時代から続く割烹老舗の技が詰まったお惣菜。本当にこういう時に思うこと、胃袋がいくつもあったらいいのに。そんな食いしん坊の空想をしつつ、岡崎公園へ戻ります。満開の桜の下でピクニックの始まりです。



公園では、春の陽気に誘われた人たちが思い思いにピクニックを楽しんでいます。 私も満開の桜の木の下に陣取り、お弁当をオープン。


丁寧に作られたお惣菜が、歩き疲れた体に染み渡ります。 時折吹く風に、桜の花びらがお弁当に舞い落ちるのも、この場所を選んだからこそのご褒美ですね。
アートを堪能した後の体に染み渡ります。
そしてもちろん、食後のデザートは、「かぎ甚」さんの桜餅とわらび餅。
これ以上の贅沢はありません。
お腹も満たされ、京セラ美術館の光の画家モネのあとは、京都国立近代美術館のはしご旅。 予想外の感動をもらった「若きポーランド展」。静かな情熱に満ちた美術館めぐりのお話は、また次回の更新で。
←春の京都旅⑯ 六波羅蜜寺の「推命おみくじ」と、老舗かぎ甚のこだわり桜餅…
→春の京都旅 ⑱ 「静」のモネ展から「動」の若きポーランド展へ。魂を揺さぶる情熱の余韻。
📍 今回の立ち寄り場所 & ルート案内
- START:御菓子司 かぎ甚(中之町)大和大路通りを北へ
- 大和橋を「西」へ折れる(ここが静寂への入り口)
- 白川筋〜花見小路横断
- なすありの径(静寂の桜回廊)
- 一本橋(白川の名物)
- 京都市京セラ美術館(「モネ展」鑑賞)
- 柿沼惣菜店(お弁当テイクアウト)
- GOAL:岡崎公園(桜の下でピクニック)

柿沼惣菜店
お出汁とおかずの専門店
炭焼台とおくどさんを備えた本格調理室。
割烹で鍛えた和の料理人が、腕をふるう。
樂膳 柿沼の姉妹店。
※現在は移転されて以下の住所です。
東大路丸太町上る 京大病院向い
京阪 神宮丸太町駅より 徒歩10分
京都市左京区聖護院西町18
この旅のヒント|岡崎エリアに泊まると、朝の散歩が変わる
白川から岡崎公園、平安神宮あたりをゆっくり歩くなら、岡崎・東山エリアに宿をとるのがおすすめ。朝、人が来る前の静けさを持ったまま散策に出られるのは、この街に泊まる人だけの特権です。
観光地から少し離れた静かな宿も、 じゃらん や 楽天トラベル で「岡崎・左京区」エリアで絞り込むと見つかります。一人泊OKの宿も多いエリアです。
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白川沿いの桜散歩から岡崎エリアまで。平安神宮・南禅寺も近く、京都の春を満喫できるエリアです。


