今回の旅のメインの一つ
今回の春の京都旅のいくつかの目的は、
・この旅初日に訪れた、二条城二の丸御殿台所・御清所でのアンゼルム・キーファー・ソラリス展。
・とらや四條南座店での京都で修行中の知人との再会。
そして、最終日の今日、ここへ来ることでした。
京都八瀬
比叡山の麓のとても閑静な住宅地に佇む
鈍考/喫茶芳。

鈍考donkou/喫茶芳とは
洛北の地にある鈍考donkouはブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)さんが主宰する私設図書館です。「喫茶 芳(ファン)」とは奥様のファンさんが営む美しい喫茶です。
外観から玄関までのアプローチ、言葉を発しなくても済むような数々のしつらえ、空間全てがまるで現代の禅寺のような空間。壁一面の本棚に納められている約3,000冊の蔵書は、アート、文学、漫画、料理本と多岐にわたり、空間と本棚そのものがアート作品のよう。「本は紙で読みたい」という本好きにはたまらない空間です。


いざ、新しい体験へ

この場所に訪れるのは、少し緊張していました。一見さんお断りの空気、とでも言おうか、楚々としたとても美しい場所に向かうのに、自分のことを振り返ってしまうのだろうか、ハードルが高くなってしまうのは仕方がないこと。むしろその方がおもしろい。
2週間前からの予約、当日は事前に送られてくる入口の暗証番号でロックを解除して入る。ある意味、観光地の気軽さとは対極にある場所。だからこそ行ってみたかった場所。
ドキドキしながら番号を押して、そろりと扉を開けると——
時間ちょうどに入ったのに、もうすでに先客が数人。
律儀に外で待っていなくてもよかったのね。
入ってすぐの正面にはシンプルで素敵なウェルカムボート。
そして、正面左手の壁が一面が本棚。その目線の先には庭に面したガラス越しに広がる緑の木々。

手荷物を所定の場所において、
予約の名前を伝えると、
さあ、読書の時間だ。

と、ガラスの向こうの木立と縁側の景色に見惚れる。

壁一面を埋め尽くす本棚。
背表紙を目で追うだけで時間が過ぎていく。
壁いっぱいの本棚と、珈琲とノスタルジックなプリン
アート、文学、デザイン、思想。
読んだことのある本も、初めて見る本も、等しく並んでいる。
この本、この本、この本——と心の中で指差しながら、気づけばすっかり夢中の世界だ。
手に取りたい本が数えきれないほど、選択という意思がしっかりと必要だ。
この90分という制限時間をどう過ごすのか、それは人それぞれ。
移り気には糖分が必要、珈琲とプリンをいただく。丁寧に淹れられた珈琲とノスタルジックなたたずまいのプリンは、甘さの中に懐かしさがあって、するりと心がほどける味だった。ハンドドリップの珈琲との相性は抜群。エネルギーチャージ完了。

縁側で本を読む。研ぎ澄まされる感覚
だいぶ落ち着きを取り戻すと、また本棚へと向かう。
本棚から、また1冊手に取ると、ガラス戸を開けて外の縁側に出てみた。
目の前の檜林と耳を澄ませると聞こえてくる、サラサラと流れる梅谷川。水音は聞こえるけど見えないくらいの距離感がいい。この日は、ある春の晴れた日といった感じで、日差しがきれいだった。昔ながらの手刻みで建てられた木造建築。引き算された潔い庭、どれも京都を感じさせる。

ここで私は、読書をすることは横に置いて、この場所を楽しむことにした。
ちょうど桜の季節に来られたことも、よかった。満開の桜の木からはらりはらりと落ちる、花びらと川の流れる音、鳥のさえずり。
点々とおいてあるいくつかのアート作品もまた、本棚と空間全体がひとつの世界をつくっている。観光の喧騒から切り離されたこの場所では、不思議と感覚が研ぎ澄まされていく気がした。何かを考えるのでも、何かを決めるのでもなく、ただそこにいる。そういう時間の使い方を、ここは教えてくれる。
90分というこの日だけの特別な時間になった。


鈍考donkou/喫茶芳へのアクセス方法
観光客で混雑する京都駅からここまでやってくると、その静けさに心が落ち着きます。その道のりに心がよろこぶのが分かります。京都を旅したい、でも混雑を避けたい旅人にはぴったりのショートトリップです。

京都駅からのおすすめコースは
鈍考/喫茶芳への前後に組み込みたい観光地は、京都国際会館と蓮華寺。
天台宗。江戸初期の寛文年間(1661-1673)加賀藩の家老今枝近義が洛中から移し再興。本堂前に六角形急勾配の笠をつけた蓮華寺型石灯籠があり、茶人の間で有名。鐘楼には黄檗2世木庵禅師銘のある銅鐘がかかっている。庭園は池泉廻遊式で石川丈山作とも伝える。拝観・開館時間9:00~17:00交通案内京都バス 公民館前行/上橋下車
所要時間10分住所京都市左京区上高野八幡町1TEL
京都駅から地下鉄烏丸線に乗り、終点の国際会館で下車、京都国際会館を見学してから、蓮華寺まで30分ほど歩き、その美しい苔庭を愛で、そこから歩くこと15分ほどでこちらへ到着。直前に決めたコースでしたが、同志社中高校沿いの桜並木や京都の住宅地をのんびりと歩くいいコースでした。街の喧噪から離れて、ゆるり“癒しのひととき”をみつけに。
■乗換なし(または1回)
JR「京都駅」→地下鉄烏丸線(国際会館行)「国際会館駅」26分→京都国際会館を見学→蓮華寺まで徒歩30分(または国際会館前駅から京都バス→「上橋」バス停から徒歩すぐ。叡山電車叡山本線「八瀬比叡山口駅」から徒歩約13分(所要時間約1時間 見学時間除く) Google map
■乗換なし
JR「京都駅」→京都バス17・18系統→「八瀬駅前」バス停下車(所要時間約50分)
・出町柳駅から叡山本線に乗り
人気エリアの出町柳駅発の叡山電鉄の叡山本線に乗り、三宅八幡駅で下車し、徒歩10分のアクセス方法です。無人の三宅八幡駅から比叡山に向かって緩やかに登る10分ほど歩く道がすごくいいんです。桜の季節には、駅前の桜の木がそれは見事。
私は鈍考の帰り道にこちらの道を歩き、叡電に乗って終点の出町柳駅で降りました。
この駅から、比叡山の麓にある鈍考までの静かな地域は人ともすれ違うこともほとんどなく、川も流れ景色のいいのどかな道のりです。
・歩くのが苦手な方な方でも
京都駅からタクシーで30分ほど、または地下鉄烏丸線で松崎駅まで行ってそこからタクシーでも計30分でも。
※鈍考/喫茶芳は2週間前に予約する、完全予約制の図書館なので、訪れる日の予約だけしておいて、当日の気分で前後の予定を組んでみるのがいい気がします。
鈍考/喫茶芳を出て、叡電へ
余韻をたっぷり抱えて、鈍考/喫茶芳をあとにする。
叡電の駅へ向かう道も、のんびりのどかな道。10分ほどで着いた最寄駅、叡山電鉄の三宅八幡駅のホーム横の桜が満開で、散歩日和の午後をさらに彩ってくれていた。





誰もいないホームで電車を待ちながら、あの空間と本棚のことで頭の中はいっぱいだった。
余韻がしばらく続きそうだ。
もう再訪はいつにしようかと考えている。

立ち寄った場所
- 鈍考/喫茶芳(donkou)
京都市左京区。要予約・暗証番号入室制の隠れ家的喫茶。壁一面の本棚とアート作品。※訪問前に公式SNS等で最新情報をご確認ください。 - 叡山電鉄 三宅八幡駅
左京区・ホームに桜が咲く小さな駅。春の散歩にぴったり。

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