ゴッホに会いに、京都を離れる朝|冬の京都旅⑮

大ゴッホ展のため京都から神戸三宮へ 神戸市立博物館 京都アート・美術館

※本記事にはプロモーションが含まれます

 前夜、「京都・看板のない店の夜|オテル・ドゥ・オガワ|冬の京都旅⑭」、鴨川を歩いて宿へ戻りました。

翌日の12月の京都旅4日目、旅の最終日。

一夜明け、まだ街が本格的に目を覚まさない内にチェックアウト。
スーツケースだけ預けてホテルを出る。

向かう先は四条堀川通りを渡った先にある阪急大宮駅。
京都の街並みとは逆の方向の電車へ乗り込む

会いに行きたかったのは、ゴッホ。

この時開催中だった、神戸市立博物館の大ゴッホ展です。

ゴッホの《夜のカフェテラス》。

あの夜空の濃い青と、
黄色く光る星の輝きとカフェテラスの灯りを、
自分の目で観てみたかった。

旅の最終日に、京都を一度離れる。
そんな寄り道の朝のはじまりです。

四条堀川 早朝の空
四条堀川 早朝の空

阪急大宮駅から、京都の街とは逆方向へ

今回のホテルから歩いてすぐの阪急大宮駅。
朝の改札を抜ける。
まだ通勤時間までは時間がある静かな地下構内。

京都線、大阪方面行き。
電車は、まばらな車内のままに走り出す。
窓の外、見慣れない景色が流れる。

十三駅で、神戸線に乗り換え。
このあたりから、車内の空気が一変する。

通勤、通学。
朝の時間帯に波に巻き込まれる。

スーツの背中、制服の肩。
旅人の自分は、異邦人のように足元が浮かんでいるようで、
そして、なんだか得をしている気分になる。

電車は、西へ。

目的地に近づくころには、車内もまた静かに。
朝のラッシュを抜けて、自分の時間が戻ってくる。

降り立った駅は、神戸三宮。

京都から神戸まで、電車を乗り継いで1時間とすこし。
とても近い。
旅の最終日に行こうかどうかと、すこし迷いつつも、来てしまった。

開館までは、まだ時間がある。
通りがかりのバーガーキングで、軽く朝ごパン。

大ゴッホ展、夜のカフェテラスに会いに

会場は、神戸市立博物館。


開館30分前、入り口前にはすでに長蛇の列。
油断してた…と列を眺めていると、webチケットの列は10人ほどしか並んでない。
その場でwebチケットを購入する。

なんとか、普通に並ぶよりもひと足早く、館内に入れたものの。
館内も数珠つなぎの人、人、人だった。

 ずいぶんと前に訪れた東京上野でのゴッホ展のことを思い出した。
その時観たゴッホ作品は、南仏アルルの黄色い家での生活を描いた「ゴッホの寝室」。鮮やかな黄色、やさしい青、黄色いベッドも椅子、広角レンズのような構図がとても印象的だった。その時も人、人、人に溢れていて、なんとか観れるまで、だいぶ試行錯誤したとの記憶が甦る。

 そしてこの日も混雑の中での鑑賞に、慣れることがない。
ミレーやドービニーの第1章から、オランダ時代のゴッホの作品が並ぶ、第二章、人のいないところを探しながら、ゆっくりと作品を巡る。観たことのないゴッホ作品がずらりと並ぶ贅沢な展覧会。
3章では、マネ、ルノワール、モネ、セザンヌ、4章はパリ時代のゴッホ作品の「モンマルトルの丘」、「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」と知っている作品が並ぶ。

5章
『夜のカフェテラス』。

大ゴッホ展《夜のカフェテラス》ゴッホ作
大ゴッホ展《夜のカフェテラス》ゴッホ


ゴッホの代表作のひとつ。
夜空の濃い青と黄色く光る星の輝きとカフェテラスの灯りを、ずっと、自分の目で見てみたかった。

この作品の混雑を見越しての鑑賞方法は、一列に並んで止まらずに作品の前を通るというもの。数秒の鑑賞時間、何回も並んで作品の前を通ったとしてもなんとも味気ない、仕方なく少し離れた鑑賞スペースから遠目に鑑賞する。

 想像していたよりも、小さな作品で、その色も時を経たものなんだと実感した。
それでも、画集やポストカードでは伝わらない、絵肌の凹凸と筆致をほんの少し垣間みたということ。それも幸運だ。

ゴッホの自画像、その目に宿るもの

大ゴッホ展 神戸市立博物館 自画像 クレラー・ミュラー美術館所蔵
大ゴッホ展 in 神戸市立博物館 自画像 1887年4-6月 油彩 クレラー・ミュラー美術館所蔵

ゴッホはその生涯の中で、37点の肖像画を残したそう。

そのどの作品の表現がそれぞれに大きく違い、そしてどれも強烈に個性的ゆえに印象的な肖像画ばかり。

なぜそんなに自画像を描いたのか、という問いにはいくつかの理由がありました。

・モデルを頼む金銭的余裕のなかったこと
・技術や表現の習得のための実験
・自己内省とアイデンティティの探求
・自己のプロモーションのために

だから、ゴッホは自分の肖像画をたくさん残した。
ゴッホ自身、とても真面目に探究心を持って絵に向き合う、自己内性の強い人物だったと想像する。印象深いタッチと、色合い。
そして、ゴッホ自身の目力。

絵の前に立つと、こちらが見られている感覚に陥る。

その目力に負けるというよりも、向き合ったところですでに負けている。
そんなふうに思わされる。
ゴッホたるや、そのエネルギーを、今もなお発している。

ゴッホが今ここにいる、と思える作品だ。

静かに惹かれた、《野の花とバラのある静物》

ポストカード ゴッホ 「野の花とバラの花の静物」
ポストカード ゴッホ 「野の花とバラの花の静物」

会場の中で、もうひとつ、忘れられない作品があった。

「野の花とバラのある静物」
パリ時代の、初期の花の絵。

 柔和な野の花と、鮮やかなバラの色合い。
花瓶からあふれ出る花々とゴッホの青と濃紺の背景のグラデーションが、ただの静物画とは思えない奥行きと惹きつける空気を作り出していました。
そして、何よりも繊細で美しいとても魅惑的な作品でした。
その世界観に目を奪われて、静かにジワジワと胸に落ちていく。

同じ空間に向かい合うように展示されていた、「自画像」とこの作品、この2つの作品は展示スペースの最後の空間でした。
幸運なことに混雑もなく、時間の許す限り、じっくりと鑑賞することができたことが本当によかった。

あとから知ったこと、「野の花とバラのある静物」には物語があった。

長く、ゴッホの作品ではないとされてきた一枚だった。
あまりに他のゴッホ作品とタッチが異なると、ゴッホの模倣作や別人の作とみなされ、倉庫に眠っていたところが、エックス線技術を用いて解析したところ、絵の下地から、かつてゴッホがアントワープの美術学校時代に描いた「2人のレスラー」の下絵が発見され、レスラーの絵を描いた後に、その上に描いたことが判明、スタイルや色彩解析からもゴッホの真作(1886年頃、パリ時代)であることが確定し長い間忘れられていた作品が、最新技術によってゴッホの「真筆」として返り咲いた物語。

あの絵の下に、別の絵があるんだ。
その時間の重なり、歴史の中に埋もれている事実にワクワクとした気持ちになる。

「夜のカフェテラス」や「自画像」とは、また違う引力。
予期せぬ新しいゴッホ作品との出会い。

やはり展覧会へ足を運ぶことはやめられない。

神戸市立博物館 大ゴッホ展(会期終了)
神戸市立博物館 大ゴッホ展(神戸会期終了 今月5月29日より巡回展スタート 上野の森美術館にて)

静かに、長くそばにいたくなる一枚だった。

冬の京都旅でも、何度かアートに足が向いていた。

祇園の昂KYOTO・ZENBI鍵善良房
中町通の誠光社・山﨑書店

そして今日、神戸まで足を伸ばして、ゴッホ。

旅の中の、もうひとつの線。

ゴッホ展のあと、なんだかとてもお腹が空いて。

お腹が空いて、一切れ焼肉松田へ

神戸三宮 一切れ焼肉松田の神戸牛カルビ6点盛り


展覧会を鑑賞することは思いの外、体力を消耗する。
急にお肉が食べたくなり、せっかくなら神戸牛を。

お手軽に食べられるお店をと探してみる。
なかなか見つからず、諦めかけていたところ。

開店前のお店の前で、待っている男性たちを見かけた。
そんなにおいしいのかな、と、覗いてみる。

それが、「一切れ焼肉松田」。

一人一人の、焼き台。
大将がひとりで切り盛りされている、気さくなお店。
昼間から旅先のビールもいい。

注文したのは、神戸牛カルビが入った6点盛り。

カウンターのお寿司屋さんのように、上塩タンから順に、目の前の木の台へ。
生ビールとともに、久しぶりに美味しい焼肉をいただきました。

追加でホルモンをいただいたところで、もうお腹いっぱい。

さすが、卸問屋さん直営の店。
美味しくて、一切れの神戸牛もいただけて、しかもリーズナブル。

再訪は決定。
また来たいお店です。

阪急神戸線



ゴッホと焼肉の神戸から、京都へ戻ると。
雨が、降り出していた。

旅の終わり、京都駅で過ごす最後のひとときへ。

次回、冬の京都旅⑯へつづきます。

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大ゴッホ展、東京・上野の森美術館で開催

神戸の会期は終わってしまいましたが、これから東京展が開催されます。《夜のカフェテラス》も、そのまま巡回します。

  • 会場:上野の森美術館
  • 第1期会期:2026年5月29日(金)〜8月12日(水)
  • 第2期:2027年10月〜(約70年ぶり来日の《アルルの跳ね橋》)
  • 公式サイト大ゴッホ展

ゴッホに会いたくなった方は、ぜひ。

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京都旅は、前泊・延泊で旅にゆとりを。朝の鴨川を歩いたり、足を伸ばして神戸まで。京都の楽しみは、もっと広がります。

冬の京都旅、アート巡りの記録

立ち寄った場所|一切れ焼肉松田

  • 住所:兵庫県神戸市中央区北長狭通1-9-17 三宮興業ビル1F
  • 電話:050-5487-6849
  • 営業時間:ランチ|火〜日・祝 12:00〜15:00(L.O.14:30)ディナー|火〜土 16:30〜22:30(L.O.22:00)/日・祝 16:30〜22:00(L.O.21:30)
  • 定休日:月曜日
  • アクセス:阪急神戸線「神戸三宮駅」徒歩2分
  • 公式サイト卸問屋直営 一切れ焼肉 松田

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