大徳寺の塔頭をめぐる半日|黄梅院の紅葉と大仙院の縁側、紫野の蕎麦と珈琲

黄梅院の門越しに見える紅葉の参道 京都旅の記録

※本記事にはプロモーションが含まれます。

 京都に来るたびに、気づくと足が向いている場所があります。北区紫野の大徳寺。20を超える塔頭(たっちゅう)が並ぶ、禅の大寺院です。

 

黄梅院の門越しに見える紅葉の参道


 2026年の秋は、大徳寺の開創700年の節目です。普段は非公開の塔頭のうち、黄梅院・聚光院・興臨院・総見院の4つの寺が、順に門を開けています。紅葉の黄梅院は12月6日まで。行く前に、まず今年の日程から確認です。

2026年秋 大徳寺の塔頭 特別公開

塔頭公開期間拝観料
(大人)
お休み
黄梅院10月9日〜12月6日1,000円10/10・11・28
聚光院9月18日〜12月6日1,000円9/27・28、10/14・16〜18・27・28、11/21・22・27〜29
興臨院9月5日〜27日、10月3日〜12月15日800円9/23
総見院10月10日〜11月30日800円11/21・22

※休止日は寺の行事で増えることがあります。出かける前に、各寺院のお知らせをお確かめください(2026年10月11日時点/参考:京都観光Navi)

紅葉の時期の宿は、早めに(PR)

 11月の京都は、宿がすぐに埋まります。大徳寺へは地下鉄烏丸線の北大路駅からバスで向かうので、烏丸線の沿線(京都駅・四条・烏丸御池・丸太町)に泊まると身軽です。

 
 特別公開の時期でなくても、大仙院・龍源院・瑞峯院は一年を通して拝観できます。

 ここからは、私が数年前の11月の終わりと暮れに歩いた大徳寺の記録です。黄梅院は特別拝観で門が開いていました。名残りの紅葉の黄梅院、縁側でぼんやりと枯山水を眺めた大仙院、お昼のお蕎麦と食後の珈琲。そして瑞峯院から南へ歩いて、夕暮れの晴明神社まで。

下鴨神社から、紫野へ歩く

 11月29日、旅の二日目。朝のうちに下鴨神社へお参りして、そこから北区紫野へ、てくてくと歩きました。

 桜の季節、祇園祭の季節、そして紅葉の季節。京都がいちばん賑わう時期は、人混みを思ってずっと敬遠してきました。そんな私の、はじめての秋の京都です。紅葉のピークを少し過ぎた、名残りの頃でした。

大徳寺の境内、石段に散り敷いた紅葉

 

 ここ数回、京都に来るたびに訪れているのが大徳寺です。来るたびに、塔頭ひとつひとつのよさがわかってくる。ポケットにお賽銭を用意して、門をくぐります。

 糺の森の静けさは、こちらの記事に書いています。

下鴨神社「糺の森」の静寂に癒され。深呼吸したくなる新緑と朱色の社殿|春の京都旅 ⑫
※本記事にはプロモーションが含まれます。  白川疏水通りを、京大農学部のグラウンドを横目に進み、御蔭通りを西へ。線路を越えて高野川が視界に入るあたりまで来ると、にぎやかさが少し戻ってくる。御蔭橋を渡る。ここまで歩けば、下鴨神社。そう思うと、…

真珠庵と大仙院

 大徳寺に来ると、毎回かならず寄るのが大仙院です。この日もそちらへ向かうと、隣の真珠庵の門が開いていて、中からお寺の方が会釈をしてくださいました。

真珠庵の方丈襖絵修復完成記念 特別公開の案内板(2021年)

 
 真珠庵は、とんちで知られる一休さんが開祖の塔頭です。普段は拝観できませんが(今年も拝観は無しです)、この年は修復を終えた方丈の襖絵の完成を記念して、特別拝観をしていました。吸い込まれるように入ると、「予約なくても入れますえ」。一休さんに「観ていきなさい」と言われたような気がしました。

 建物も、襖絵も、お庭も、茶室も、素晴らしいのひと言です。なかでも木造の一休和尚坐像の前に立ったときは、その眼差しの強さにドキリとしました。

大徳寺の塔頭の門の奥へ続く石畳と苔

 
 それから、お隣の大仙院へ。方丈の前の縁側に座り、目の前の枯山水を眺めるのが好きで、来るたびにここで過ごします。不思議と、いつも人のいないときに当たります。この日も、修学旅行の子たちがちょうど帰ったあとでした。真珠庵に先に寄ったのが、いい順番だったようです。

大仙院の門と庭園の案内

 

 しばらくぼんやりしていると、お寺の若い方が説明をしてくださいました。暖かい部屋でお抹茶をいただくうちに、京都の底冷えで冷えきった体が、ゆっくりほどけていきます。

 どちらの塔頭も、中は撮影できません。写真は外観と、この日に見かけた黄実の千両です。赤い実の千両はよく見かけますが、黄色い実のものには京都でよく出会います。

黄色い実の千両

▶︎大仙院
 京都市北区紫野大徳寺町54-1 拝観は9:00〜16:30 拝観料大人500円、お抹茶は500円
 年中無休(行事で変わることがあり) 市バス「大徳寺前」から歩いて8分ほど

龍源院

龍源院の門と、青空にのぼる龍のような雲

 

 次に向かったのは、大徳寺の塔頭のなかでいちばん古い龍源院です。京都に暮らしていた知人にすすめられて、この日がはじめての拝観でした。

 入口の門を見上げると、その向こうの青空に、のぼり龍のような雲がくっきりと浮かんでいます。龍源院という名前に、空まで合わせてくれたようでした。

 この門と雲は、連載小説「鴨川理容院」の第2話で、漣が見上げた景色でもあります。

京ものがたり|鴨川理容院 第2話 一滴からはじめれば
━━━━━━━━━━━━📖 オリジナル小説連載━━━━━━━━━━━━ 京都・御所南。理容院を営む祖父のもとへ、ある春、東京から孫がやって来た。美容師であり、何かに迷う青年。さざなみと書いて、漣(れん)。祖父の名は、トウゴロー。京の所作と人…
龍源院の表門から見る苔の庭と参道

 
 方丈の本堂には釈迦如来坐像と、龍の襖絵。そのまわりを、いくつもの枯山水の庭が囲んでいます。北側の龍吟庭、そして方丈と庫裏のあいだにつくられた小さな壺庭の東滴壺(とうてきこ)。

 入ってすぐ左手の和室には、床の間に「日々是好日」の掛け軸がかかっていました。足すのではなく、引いていくことで生まれる美しさがある。侘び寂びの庭を前にして、そんなことを思います。

 「日日是好日」という言葉を題にした本に、森下典子さんの『日日是好日』があります。お茶の稽古を通して、季節と暮らしを見つめ直すエッセイです。

▶ 森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫)をAmazonで見る(PR)

龍源院の境内、石畳の参道と石灯籠

 方丈の縁に腰をおろすと、柱の向こうに苔の庭と松の緑。しばらく、何もせずに眺めていました。

龍源院の方丈の縁から眺める、苔の庭と松

▶︎龍源院
 一年を通して拝観可能。時間は9:00〜16:20
 市バス「大徳寺前」で降りてすぐ(電話 075-491-7635)

※拝観料は案内によって金額が違うため、現地でお確かめください。

黄梅院の紅葉

黄梅院の門札と紅葉の参道

 
 龍源院を出て、そろそろお昼へと歩きだしたところで、紅葉に足を止められました。門の奥へ、もみじが続いています。秋の特別拝観で門を開けていた、黄梅院です。

 はじまりは、織田信長が父のために建てた黄梅庵。本能寺の変のあと、豊臣秀吉が建物を増やし、黄梅院と名を改めました。千利休がつくった庭「直中庭(じきちゅうてい)」は、苔ともみじが美しく、どこを見ても見どころばかりです。華やかな秀吉らしい、雅な塔頭でした。

黄梅院の参道、紅葉の下を内門へ

 中は撮影できないので、写真は門から内門までのもみじと苔です。

苔の上に散ったもみじ(黄梅院)

 
 2026年の秋も、黄梅院は公開されています(日程は記事のはじめに)。直中庭のほかに、禅宗寺院に残るものとしては最古の庫裏や、加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰ったとされる釣鐘も見られます。紅葉が色づくのは11月中旬から。拝観料は現金のみなので、小銭も用意して行きましょう。

見上げる黄梅院の紅葉と青空

 気づけば、お腹はぺこぺこ。お昼ごはんを探しに向かいます。

 ▶︎黄梅院
 2026年秋の特別公開は、10月9日〜12月6日(10/10・11・28は休止)。
 受付は10:00〜15:45、拝観料は大人1,000円・中高生500円で、現金のみ。
 紅葉は11月中旬から。市バス「大徳寺前」から歩いて5分ほどです。

お昼は「五 いつつ」、食後は珈琲山居

 来たときとは別の、大通りに面した門から外へ。お店を探すまでもなく、和モダンの店構えに「手打ち蕎麦」のお品書きが見えました。さっぱり軽めにと思っていたところだったので、迷わず決めます。

紫野和久傳の店先、通りの向こうに大徳寺の塀

 京都でも指折りの料亭、和久傳のお店「蕎麦と料理の店 五(いつつ)」です。席は2階だけで、ちょうど予約の合間に入ることができました。入口のアプローチから2階の客席まで、しつらえがとても素敵です。

 お蕎麦だけの注文にも、湯葉のお通しが出てきます。出汁のきいた餡がかかった、冷たいひと口。

湯葉のお通し、出汁の餡がけ(五 いつつ)

 

 お蕎麦は福井県産のそば粉で、白衣の職人さんが「ぜひ塩で」とすすめてくださいました。塩でいただくと、蕎麦の香りがよくわかります。わさびをのせて、もちろん蕎麦つゆでも。あっという間に平らげて、残ったつゆは蕎麦湯で最後までいただきました。

五(いつつ)の手打ち蕎麦と塩・わさび

 
 次は予約をして、お料理と、できれば鯖寿司もいただきたいと思っています。お蕎麦は売り切れたら終わりなので、行くなら予約をしておくと安心です。(紫野和久傳 大徳寺店)

 五(いつつ)は、紫野和久傳 大徳寺店の2階です。そば料理は11:30〜15:30(L.O. 15:00)と17:30〜21:00(L.O. 20:30)、木曜が定休日。住所は京都市北区紫野雲林院町28、市バス「大徳寺前」で降りてすぐです(電話 075-494-0500)。

大徳寺店 | 和久傳(わくでん)|京都の料亭和久傳と京の料亭の味をお取り寄せできるオンラインショップ
料亭の味をおもたせに仕立てる紫野和久傳の大徳寺店のページです。京都市北区、大徳寺の東隣りにお店を構え、弁当や和煮など各種おもたせをお取り扱いしております。

 
 食後の珈琲は、大徳寺へ向かう道で見かけていたお店へ。新大宮商店街の角にある、珈琲山居です。こちらも京都に暮らしていた方に教えていただきました。
 メガネをかけた店主さんの佇まいからも、誠実に珈琲を淹れてくれるお店だと伝わってきます。

珈琲山居の外観、木の扉と鉢植え

 
 道路に面した席で、この日の気分にぴったりのコスタリカを。中煎りで、すっきりとさわやか、ジューシーな一杯。なんだか、気持ちが落ち着きます。

 ▶︎珈琲山居
 大徳寺の東、新大宮商店街の角。営業は12:00〜18:00で、火曜と水曜定休。

窓辺の席でいただくコスタリカ(珈琲山居)

 ひとりでも入りやすかった京都のお店は、こちらにまとめています。

京都 一人でも入りやすい店21選|ひとり旅で出会った静かな名店たち
※本記事にはプロモーションが含まれます。京都を歩いていると、お店選びで少し迷うことがある。 観光客向けのにぎやかな店ではなく、気取った高級店でもなく、ひとりでカウンターに座って、自分の時間をそのまま楽しめるお店。そういう一軒に出会えると、京…

瑞峯院から南へ

 別の年の旅の9日目。烏丸御池の小川珈琲本店でお昼をすませて、その足で、お気に入りの大徳寺へ向かいました。

瑞峯院の札がかかる柱

 京都に来るたびに、ほぼ毎回向かう大徳寺。この日は、まだ訪ねていなかった塔頭、瑞峯院へ。天文4年(1535年)に、キリシタン大名としても知られる九州の戦国大名、大友義鎮(宗麟)が建てた寺です。創建当時の建物が残っていて、静かで厳かな空気に包まれていました。

瑞峯院の独坐庭、白砂の波と石組
瑞峯院の庭、十字の刻まれた石

 瑞峯院も一年を通して拝観できます。市バス「大徳寺前」から歩いて5分ほど。拝観時間と拝観料は、現地の案内で確かめてください。

 大徳寺をあとにして、南へ下りながら、お茶のできる場所を探します。途中で出会ったのが「練塀(ねりべい)」です。瓦を練り土にはさんで積み上げた壁で、京都らしい情緒がたっぷり。その手前には、素敵な茶寮の外観も見えます。でも、たしかこのあたりに、行ってみたいと思っていたお店があったはず。

瓦を練り土にはさんで積んだ練塀

 

 ありました!のばら珈琲。住宅街の中にひっそりと、京都らしく、家と家の間の細い路地の入り口に小さな椅子に小さな看板。その路地を突き当たりまで進むとレトロな平屋建ての建物。店内もとても素敵なレトロな空間が広がります。

 すっかり冷えた体に、ラム酒入りのホットミルクと、むかしながらのドーナツ。空間ごと、あたためてもらいました。

のばら珈琲の灯り
ラム酒入りのホットミルクとドーナツ(のばら珈琲)

▶︎のばら珈琲
 京都市上京区蛭子町655。浄福寺通と上立売通の角から少し西へ行くと、路地の入口に「エイギョウシテイマス」の小さな看板があります。営業はおおよそ11:30〜18:30ごろ(紹介記事によって少し差があります)、月曜と火曜がお休みです。市バス「千本上立売」から歩いて5分ほど。

のばら珈琲 – 予約はこちら | HAMONI
のばら珈琲の予約情報、店舗情報をHAMONIでチェック🚀 | 日本、〒602-8484 京都府京都市上京区蛭子町655

※時間や料金は変わることがあります。出かける前にお確かめください。

 そこからさらに南へ歩いて、晴明神社へお参りします。夕暮れの神社は、昼とはまた別のうつくしさです。社紋の☆印が、なんとも不思議な神社でした。

 安倍晴明を主人公にした小説に、夢枕獏さんの『陰陽師』があります。晴明と友人の源博雅が、平安の都の不思議なできごとに向き合っていく物語です。

▶ 夢枕獏『陰陽師』(文春文庫)をAmazonで見る(PR)

夕暮れの晴明神社、本殿と大きな楠
晴明神社の扉の五芒星

 

▶︎晴明神社
 京都市上京区晴明町806(堀川通一条上ル)。
 参拝は朝9時から、授与所は16:30ごろまで。
 市バス「一条戻橋・晴明神社前」で降りてすぐ。
 https://www.seimeijinja.jp/

 晴明神社から北へ歩くと、ドラマ『京都人の密かな愉しみ』のロケ地、本法寺もすぐそこです。

『京都人の密かな愉しみ ロケ地を歩く』|俵屋吉富・梨木神社・本法寺を歩く半日
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 帰り道に寄ったのは、大垣書店の堀川新文化ビルヂング店。2階のクリスマスマーケットで、友人に絵本を一冊選びました。名残りの秋の一日が、こうして暮れていきます。

大垣書店 堀川新文化ビルヂング店、クリスマスの飾りの窓辺

▶︎大垣書店 堀川新文化ビルヂング店
 京都市上京区皀莢町287。営業は10:00〜22:00
 市バス「堀川中立売」から歩いて1分。

堀川新文化ビルヂング店 – 大垣書店

大徳寺を歩くときのメモ

 何度か歩いてみて、気づいたことを書いておきます。

行き方は、出発地で3通り

  • 京都駅から:京都駅前バスターミナルA3乗り場から、市バス206系統で「大徳寺前」下車、徒歩5分ほど。乗り換えなしの1本で、30〜40分が目安です。道が混む時期は、地下鉄烏丸線で北大路駅まで行き(約15分)、そこから歩くかバスに乗るほうが時間を読めます。
  • 下鴨神社から:市バス205系統なら、「下鴨神社前」から乗り換えなしで「大徳寺前」へ。歩くなら約3km、40分ほどです。私は1回目、糺の森から歩きました。
  • 西陣から:千本通を走る市バス206系統で、「千本今出川」などから北へ。歩くなら晴明神社から約2km、30分ほどです。私は2回目、この道を逆向きに、大徳寺から晴明神社まで歩きました。

※バスの経路や時刻は変わることがあります。出かける前に、京都市交通局のサイトで確かめてください。

歩くときに気をつけたいこと

  • 塔頭の中は、撮影できないところが多いです。写真は門と外観だけと割りきって、目に焼きつけるつもりで。
  • 拝観料は塔頭ごとです。黄梅院のように現金のみのところもあるので、小銭を多めに。
  • 冬は底冷えします。方丈に上がると足元から冷えるので、靴下は厚めのものを。
  • 修学旅行の団体と重なったら、隣の塔頭を先に回ってみてください。私は真珠庵に先に寄ったおかげで、静かな大仙院の縁側に座れました。
  • お昼は大徳寺のまわりで。五(いつつ)はお蕎麦が売り切れたら終わりなので、予約がおすすめです。

 大徳寺の成り立ちや塔頭の一覧は、臨済宗・黄檗宗の公式サイト(大徳寺)にまとまっています。

名残りの紅葉の大徳寺へ

 何度来ても、来るたびに新しい塔頭に出会える大徳寺。2026年の秋は、ふだん閉じている門がいくつも開いています。紅葉の黄梅院へ。そして、大仙院の縁側でぼんやりする時間も、ぜひ。

 この日の午後は、出町ふたばの栗餅を買って、京都御苑の紅葉の中へ。

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 前の晩に京都に入っておくと、朝のうちから塔頭をゆっくりめぐれます。

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