きぬかけの路を歩いて龍安寺へ
YAMAZAKI COFFEEでの思いがけない出会いと、
ホットケーキの余韻を胸に、ふらりと道を歩く。
京都を歩いていると、
ふと前から行きたかった場所を思い出すことがある。
近くのバス停を見つけ、ちょうど来たバスに乗った。
終点は、立命館大学前。
そこから歩くのが、きぬかけの路。
衣笠山の麓で、宇多天皇が山に絹を掛けたという故事から名付けられた道だ。
金閣寺、龍安寺、仁和寺を結ぶ京都でも人気の散策路でもある。
有名な観光路でも、歩いている人などいない。
冬の空気は澄み、
歩く足音まで静かに響くようだ。
ゆるやかなカーブの先に見えてきたのは、
ずっと訪れてみたかった場所。
——龍安寺。
室町時代に創建された禅寺で、
石庭で知られる世界文化遺産の寺院だ。
山門の受付で拝観料を払うと、
黄色く色づいた葉が頭上からはらはらと落ちてきた。

龍安寺の石庭「十五石の謎」

龍安寺の石庭は、方丈の前に広がる枯山水庭園。
白砂の上に置かれた十五の石。
世界でもっとも有名な禅の庭のひとつで、海外では抽象芸術としても高く評価されているという。
そして、この庭には有名な「十五石の謎」がある。
どこから庭を眺めても、
必ず一つの石が他の石に隠れ、
十五すべてを見ることができないのだ。
縁側に腰を下ろし、庭を眺める。
少し場所を変えてみても、
見える石は十四。
また位置を移動しても、
やはり十五にはならない。
しばらく試してみたけれど、
結局すべての石を見ることはできなかった。
諦めて、ただ静かに庭を眺める。
白砂と石だけの庭。
いつまでも眺めていられる。
龍安寺の石庭は、
「見る庭」というより、
静かに時間を過ごす場所なのかもしれない。



龍安寺の油土塀
石庭をあとにして、境内を歩く。
ふと足を止めたのは、古い土塀の前。
龍安寺の名物のひとつ、油土塀だ。
石庭側からは距離があって、よくわからなかったが、
裏の境内側からはよく見える。
長い年月を経て浮かび上がったまだらの模様に、
冬の光がやわらかく差し込んでいて
足を止めて、しばらく眺めてしまう。
龍安寺には、
こうした静かな美しさがそっと残っている。


龍安寺の鏡容池と弁天島

さらに境内を進むと、鏡容池が広がる。
龍安寺といえば石庭の印象が強いけれど、
この池の周りを歩く時間もまた心地いい。
池の小さな橋の先には弁天島があり、
水の女神であり、芸能や財運の神として知られる弁財天が祀られている。
豊臣秀吉がこの池に霊力を感じ、
弁財天を祀るよう命じたという逸話も残っているそうだ。
橋の上では、修学旅行らしい中学生たちが
きゃっきゃっと楽しそうに話している。
社の前で盛り上がっている様子で、
どうやらしばらくお参りはできそうにない。
微笑ましい光景だと思いながら、
少し離れて池を眺めて待つことにした。
水面に映る木々と、澄んだ冬の空。
落ち葉を踏む音だけが、静かに響いている。


西源院の湯豆腐
弁天島から戻って、鏡容池沿いの道を進むと
龍安寺の塔頭・西源院の前に出た。
ここは湯豆腐で知られる精進料理の店。
門の前のお品書きを見て、思わず足が止まる。
……なかなかのお値段。
京都の湯豆腐、やっぱり特別だなあと思いながら、
今日はそのまま通り過ぎることにした。
まだ、歩きたい。

落ち葉の道を一周すると、
心の中が満ちているような気持ちになる。



龍安寺を出たあと、
バス停へは戻らず、そのままきぬかけの路を歩くことにする。
きぬかけの路を歩いて仁和寺へ
龍安寺を出たあと、
バス停へは戻らず、そのままきぬかけの路を歩くことにする。
金閣寺から龍安寺、仁和寺へと続くこの道は、
京都でも好きな散歩道のひとつだ。
冬の空気のなか、
静かな道を十五分ほど歩く。
次の目的地は、仁和寺。
大雲山龍安寺
所在地:京都市右京区龍安寺御陵ノ下町13
拝観時間:8:00〜17:00(季節により変動あり)
拝観料:大人600円 / 高校生500円 / 小中学生300円
アクセス
・京福電鉄(嵐電)「龍安寺駅」徒歩約7分
・市バス「立命館大学前」徒歩約7分
世界遺産に登録されている禅寺で、
枯山水の石庭は世界でもっとも有名な日本庭園の一つとして知られています。
この旅は「冬の京都旅」として、京都をゆっくり歩きながら巡った記録です。
過去の記録はこちら。
・冬の京都旅①12月の京都旅・五条「山と道」を訪ねて
・冬の京都旅②北区「Vivobare foot 京都」で足元を整える
・冬の京都旅③左京区八瀬・瑠璃光院
・冬の京都旅④中京区・お酒と巻すしと料理の店で冬の味覚を楽しむ
・冬の京都旅⑤上京区・銅板で焼いたホットケーキと京都での偶然の出会い



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