※本記事にはプロモーションが含まれます。
『京都人の密かな愉しみ』というドラマを、ご存知でしょうか。京都の老舗和菓子屋を舞台に、この街の暮らしと四季を静かに描いてきた、NHKのシリーズです。今年の1月から3月には、最新章『Rouge−継承−』が全9話で放送されました。240年つづく和菓子屋「久楽屋春信」の、のれんの行方の物語です。
このドラマの好きなところは、京都の「観光地ではない場所」が、たくさん描かれていて、その風景がとても美しく映されていること。そしてその多くが、鴨川沿いに、歩いて巡れる近さで連なっていることです。
六月一日の午後。早朝の貴船から出町柳に戻ってきたわたしは、そのまま鴨川沿いを歩いて、ロケ地をたどってみることにしました。出町柳から五条まで、寄り道しながらの半日です。
この記事で巡るロケ地
| 場所 | ドラマでの登場 |
|---|---|
| 賀茂大橋 | 「鴨川のサルトル」がいる橋の下(Rouge 第8話) |
| 荒神橋の飛び石を渡った先 | 『月夜の告白』(2016年)で、待子が笛の音に惹かれた場所、Rouge 継承(2026年)では、洛(ミヤコ)と弟が鴨川沿いで話す場面は、二人が座る土手のベンチは、荒神橋から少しだけ南へ下った東側の河川敷(土手沿い) |
| 銅駝水(どうだすい) | 教授が水を汲みに来る名水(Rouge 第5話) |
| ミラノ工務店 | 劇中の「六角総合法律事務所」 |
| 二条大橋北側の飛び石 | 第1話、パリから着いた洛(みやこ)が最初に立つ場所 |
| 喫茶KANO | Rouge 第7話に登場 |
出町柳から、鴨川へ

スタートは、叡山電車の出町柳駅。駅を出てすぐの「おにぎり屋さん」で、鮭おにぎりをひとつ買いました。170円。ほんのり塩気のきいた、まっすぐなおにぎりです。京都のおばちゃんたちの手作りのおにぎりにホッとします。出町柳に来たら、と覚えておきたいと思いました。

時間は13時、貴船の川床カフェでは軽食だったので、このおにぎりを携えて鴨川沿いの道を下ります。
六月の京都はすでに夏の陽気ですが、川べりは、眺めがよくて風が気持ちいい。日傘を刺してさんぽです。
賀茂大橋——「鴨川のサルトル」の橋の下で

最初の目的地は、賀茂大橋です。『Rouge−継承−』の第8話に、「鴨川のサルトル」と呼ばれる男の人が出てきます。鴨川沿いに暮らす、哲学者のような人。彼がいるのが、この橋の下です。

橋の下に入ると、車の音がすっと遠くなって、川の音だけになります。石畳に腰を下ろして、さっきのおにぎりをいただく。

白井晃さん演じるサルトルが見ているのは、毎日こんな景色なんだなあ、と思いながらいただく鮭おにぎり。橋の下は日陰で涼しく、川を渡る風が入って、気持ちいい。歩き疲れたら、ひと休みするにはいい穴場を見つけました。ドラマの場所を「見る」のではなくて、しばらく「居る」。ロケ地巡りのいちばんの贅沢は、これかもしれません。
荒神橋の飛び石——『月待ちの笛』の場所へ
賀茂大橋をあとにして、川沿いをさらに下ると、荒神橋(こうじんばし)のたもとに飛び石があります。

角柱の石と、亀のかたちの石が、川の中にずらり。一歩ずつ、澄んだ流れの上を渡っていきます。この飛び石、大人には緊張感が走るかも、川に落ちませんようにと。

この飛び石を渡った先が、もうひとつのロケ地です。シリーズ第4作『月待と笛』(2016年)のオムニバスの一篇で、本上まなみさん演じる待子が、月夜にこのあたりのベンチで能管(のうかん)を吹く男(安藤政信さん)を見かけ、笛の音に惹かれるように近づいていく——あの場所。

丸い石のオブジェで子どもが遊ぶ、のどかな鴨川公園です。奥にはベンチがあり、月の夜にここで笛の音が聞こえたら。そう思って立つと、公園の景色が少し違って見えてきます。
何回でも見返したくなるドラマのロケ地を巡りながら、記憶の中で、またドラマを見かえしながら歩き、荒神橋の下、鴨川沿いを南へと下り、丸太町橋のたもとから、上の道へ。
土手町通りを下って、次の目的地へと向かいます。
夷川通の銅駝水——教授が汲みに来る名水

夷川通の銅駝会館(どうだかいかん)の前に、名水「銅駝水」が湧いています。『Rouge−継承−』の第5話で、教授が水を汲みに来る場所です。一見すると、簡単に見過ごしてしまいそうな場所。そこがまたいいところで、地下水の管理費への協力金箱と、ガラスの瓶。ご近所の暮らしの水として、いまも現役です。
この時は、車でお水を汲みにいらしていた方が先約でいらして、その量は結構なもので、順番を待つという感じではなかったので、名水を味わうのは、また機会に。

そして、このすぐ横に、ドラマで「六角総合法律事務所」として登場する建物があります。実際の建物は、ミラノ工務店さん。

ドラマを観た方なら、入口の前で「あっ」となるはずです。名水と法律事務所——第5話の世界が、この一角にぎゅっと詰まっています。
二条大橋——第1話の飛び石と、リッツ・カールトンの遊歩道
夷川通から鴨川へ戻ると、二条大橋です。

この橋の北側にも、飛び石があります。『Rouge−継承−』の第1話、パリから京都に着いた主人公の洛(みやこ)が、空港からの送迎ドライバーに連れられて、まず最初に立つのがこの飛び石。目の前には、ザ・リッツ・カールトン京都が建っています。

そのリッツの鴨川側には、みそそぎ川に沿った遊歩道があります。緑のトンネルのような小径で、小さな木の橋も架かっていて、ホテルの前とは思えない静けさ。




ここは、ぜひ歩いてみてください。二條大橋からリッツカールトンの川沿いを北へ、わたしのお気に入りの道になりました。
喫茶KANOでアイスコーヒー——第7話の窓辺
三条駅から京阪電車に乗って、二駅。清水五条で降りて、高瀬川のほうへ歩くと、レンガ造りの喫茶KANO(カノ)があります。『Rouge−継承−』の第7話に登場する、昔ながらの喫茶店です。

アーチ窓に金文字の看板。中に入ると、ダイヤ模様の窓格子ごしに高瀬川の緑が揺れて、大理石のテーブルに赤い椅子が並びます。

注文したのは、アイスコーヒー(700円)。歩いてきた体に、ゆっくり染みていきます。
洛ちゃんと、銀粉蝶さんが演じる大先輩の鶴子さんが、向かい合って話をする場面、実在の喫茶店です。ここでもまた、『Rouge−継承−』の第7話のシーンを記憶の中で見返しながら、物語を回想します。

帰り際、すぐ近くにすてきなお店も見つけました。花と料理の「レストラン ドゥージィエムメゾン」。窓辺に器が並ぶ佇まいに足が止まりました。次の京都で、入ってみたいお店がまたひとつ。

ロケ地巡りをして、また新しいお店を見つける。京都の街はまだまだ知らない場所、お店がたくさん、楽しみが尽きません。次回の旅で寄ってみたくなります。



ドラマのロケ地は、どこも「観光地」ではありません。橋の下も、名水も、工務店も、ご近所の暮らしの場所。静かに、そっと訪ねるのがお約束です。
ドラマの聖地を訪ねることは、大ファンの楽しみ。ロケ地を巡ると、またドラマ本編を観たくなります。ドラマを見ると、また別のロケ地も気になってきます。そうしてまた、旅に出る。愉しみの旅がつづきます。
今回のロケ地めぐり散歩
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース | 出町柳 →(鴨川沿いを徒歩)→ 賀茂大橋 → 荒神橋の飛び石 → 丸太町橋 → 銅駝水・ミラノ工務店 → 二条大橋・リッツの遊歩道 →(京阪 三条→清水五条 180円)→ 喫茶KANO |
| 所要時間 | 寄り道しながら約2時間半(わたしは12時40分に出町柳を出て、15時前に五条を出ました) |
| 歩きやすさ | 川沿いはほぼ平坦。飛び石を渡るので、歩きやすい靴で |
| 喫茶KANO | 営業時間などは、おでかけ前に最新の情報をご確認ください |
結び——京都駅へ

五条駅から地下鉄に乗って、京都駅へ。大屋根越しに京都タワーを見上げて、半日のロケ地さんぽは終わり。
ドラマの京都は、特別な場所ではなくて、歩けば届く場所にありました。京都人の密かな愉しみ『Rouge−継承−』をご覧になった方も、これからの方も。鴨川沿いのこの道を、ゆっくり歩いてみてください。
この日の朝、貴船の静かな時間を歩いた旅は、こちら。
・青もみじの貴船神社さんぽ|水占みくじと、川床カフェの一服【6月の京都】
御所まわりから西陣へのロケ地さんぽの続きも、また別の一篇でお届けします。
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